×

イベントサマリー

認知症と暮らせるまちをつくるために

~やさしさを伝えるケア技術ユマニチュードⓇ~

 

開催日 令和7年10月12日(日)

時間  13:30~15:00

場所  丸亀市保健福祉センター (ひまわりセンター)4階研修会議室1.2

参加者 67名

講師 森山 由香 先生     日本ユマニチュード学会チーフインストラクター

社会福祉法人 三篠会 小規模多機能型居宅介護事業所

SHIRAKI 梯   管理者

(理学療法士・ケアマネージャー)

概要:住み慣れた場所でいつまでも暮らせるためには、社会とのつながりは大切であると言えます。高齢になるにつれ認知力の衰えが、自立生活を難しくすることも多く、早期からかかりつけ医や介護保険などの手助けを得ながら暮らしを継続することが肝要と言えます。認知症については、気にはなるけど他人事として情報を受け止め、身近で困った際にやっと気づいて助けを求めるということも多いのではないでしょうか。我が丸亀市も、誰もが認知症や手助けを必要とする方を理解できるような風土を醸成するために、今回のユマニチュード研修開催の運びとなりました。

ユマニチュードはフランスの体育教師のイブ・ゼネストさんとロゼット・マレスコッティさんという方が開発されたコミュケーションケア技術です。もともとは介護者の腰痛対策のために始まったのですが、現場へ行った際、専門職が何でもやってあげている状況に驚いたそうです。本人が持てる能力をできる限り使い、適切な援助をすることが、その人の健康の向上、維持になると考え【その人の持つ力を奪わない】ための工夫が生み出されたのです。そしてユマニチュード4つの柱「見る」「話す」「触れる」「立つ」の実践には、当事者も家族・関係者もお互いにやさしさが必要で、やさしさを伝え、人として尊重するには接し方とコミュニケーションが基本になると言われます。

今回はある家族の動画が映されました。奥さんであるミチコさんが認知症となり、夫のかずおさん、娘のひとみさんがミチコさんへの対応について困っていました。そこへゼネスト氏が訪れ、直接指導を受けることでミチコさんの認知症を受け入れ、家族として穏やかにコミュニケーションができるようになるまでを記録した動画でした。最初、かずおさんはミチコさんに怒鳴ったり、危ないからと台所仕事を娘さんが変わったりしていました。しかしゼネスト先生より「アルツハイマーは人を変えてしまう病気ではありません。素敵な人間性、愛情はそのままです。」と説きました。脳の機能は低下しても、愛情は最後まで理解できるという事です。まず正面から向き合い、相手の瞳に映る自分を見つめるようにと語りました。一か月後再訪問してみると、かずおさんは目線を合わせて話し、思い出写真アルバムをもとに思い出話をして、ミチコさんの記憶を引き出していました。そしてもともと主婦として料理をしていたミチコさんの、【できる力を奪わないこと】を考え食事の材料をあらかじめ袋に入れておき、それを使ってスムーズに料理ができるように準備しました。その結果、ミチコさんはかずおさんと穏やかな時間を持ち、ひとみさんと一緒に台所に立ち、昔取った杵柄である料理をすることができたのです。

人の記憶機能は、脳内で情報を仕分けして検索し再使用するシステムであり、単なる情報として聞いたものは短期記憶として忘却しますが、感動や思い出として印象付けば長期記憶として残っていくそうです。その長期記憶を活用しながらミチコさんは、住み慣れた自宅での生活を継続できたのです。対応の視点を変えることで、当事者も周りの人も

落ち着くことが理解できました。

森山先生は、介護するうえでの大切なこととして

1,「あなたを大切に思っていますよ。」というメッセージで相手の目を正面からしっかり見つめる。

2,相手と良い関係を結ぶ。その人が持っている力を奪わないようにしましょう。そしてその人のいいときの写真を活用したり、エピソードやプラスの感情はこれから作るように心がけていきましょう。それが思い出作戦です。

3,その人がしたかったことを、できるだけかなえられるように働きかける。

以上の3点をまとめられました。最後の質問で、目をつむったままの方に対し、見つめることはわかるのでしょうかという問いに対し、先生は2年間目をつぶったままの女性に、普段通りの声かけと、持てる力の活用で少しずつ動けるようになり、車いすでアイスクリーム屋さんへ行けるまでになった方の事例を教えて下さいました。やはり人として向き合うことが大切で、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱を使い、「あなたを大切に思っていますよ。」というメッセージを相手が理解できるように伝えることが大切だと理解できました。先生の「私たちが、ケアをあきらめたらだめなんですよね。」という呼びかけが心に残った講義でした。

 

アンケート結果  参加者67名  アンケート回答数54  回答率80.6%

1)年代別参加人数           2)参加者職種別内訳

    

3)講座内容の理解           4)講座を知ったきっかけ

   

5)認知症になって困った時どこに相談しますか(複数回答あり)  6)講座の内容は役に立ちますか

     

7)認知症の人が安心して暮らせるようになるには、どんな事が大切だと思いますか(抜粋)

 

年代 意見
1 10代 このような講座で私たちが知識を得る。
2 30代 周りの人が認知症を理解する。認知症という言葉は聞いたことはあるが意味まで知らないのでは。
3 60代 自分が認知症になったらと考え、その時はどうしてほしいか考えられる人となり’やさしさ’を伝えられる人となりやさしさを伝えられる人が一人でも多くなる街周囲に助けを求められる町になっていくことが大切。
4 60代 家族や周囲の人たちの思い技術が大事であるしまた家族のフォローが大事である。そのためにもユマニチュードはみんなに知ってほしいと思います。
5 60代 認知症を否定的にみるのではなく、その人のできる部分に注目して、プラスの視点で交流が持てるような居場所を増やす。
6 60代 認知症の有無にかかわらず参加できる交流の場を増やす。
7 80代 相手と良い関係を結ぶ。勇気を持って声をかける。そんな街になるようにする。